栄養をバランスよく摂るにはどうすれば?
ドッグフードの成分表示を見てみるのじゃ
愛犬が少しでも健康で長生き出来るよう、ドッグフードにも拘りたいのが親心ですよね。
しかし、グレインフリーや無添加ばかりに気を取られ、成分表のチェックをしてない人も。
ドッグフードの良し悪しを判断する上で、成分表と原材料のチェックは非常に重要です。
表示の見方や注意点を知り、良いドッグフードを選ぶことで愛犬の健康を維持しましょう。
この記事では、ドッグフード成分表の見方や注意点、必要な栄養についてまとめました。
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良いドッグフードを選ぶには
まず、何故ドッグフードの成分表示を確認した方が良いのか知っておきましょう。
理由を知っていれば何に注意すれば良いのかなどがイメージしやすくなります。
何のために成分表示の見方を知るのか目的を見失わないように注意が必要です。
どんなドッグフードが良いの?
栄養バランスの良いものが良いのね
ライフステージに合わせるのも大切じゃ
ドッグフードを選ぶ上で一番重要なことは、必要な栄養をバランスよく取れるかです。
最近は色々なドッグフードも出ていますが、栄養バランスが悪ければ意味はありません。
犬が成長する、健康を維持する上で必要な栄養を過不足なく取れることが重要です。
また、必要な栄養は愛犬のライフステージによっても変わってきます。
そのため、飼い主さんが愛犬のライフステージに合わせて餌を選ぶ必要があるのです。
重要なのは成分表
栄養バランスはどこで確認するの
それが成分表示=成分分析値じゃ
では、どのようにドッグフードを選べば栄養のバランスを取れるのでしょうか。
その際に重要なのが成分表、正しくは成分分析値です。
ここには、そのドッグフードに含まれる栄養がどれくらいなのかについて書いてあります。
そのため、成分表を見れば必要な栄養が揃っているか、愛犬に合うか分かるのです。
ドッグフードに必要な6大栄養素
とは言っても、成分表を見ただけでは、何について書いてあるのかわかりませんよね。
そこに書かれている成分が何なのか、どんな役割があるのかを知る必要があるでしょう。
成分表に表示されている6大栄養素にどのような役割があるのかについてまとめました。
タンパク質
水の次に多い体の構成要素ね
体の成長と維持に必要な栄養じゃ
タンパク質は体を作る上でなくてはならない栄養素です。
体から水分を除くと残りの約60%はタンパク質ということからもその重要性は分かります。
また、体を作り上げるだけでなく、維持するのにも使われているタンパク質。
消化や代謝を助ける酵素やホルモン、病原菌から体を守る抗体の原料でもあります。
さらに、主な働きではありませんが、エネルギーとして活用することも可能です。
タンパク質の主な働き
- 体を作る原料になる
- 消化や代謝を助ける
- 病原菌から体を守る
- エネルギーになる
食事から得たタンパク質は、アミノ酸に分解されて吸収されます。
その中でも体内で合成できない必須アミノ酸は、食事から摂ることが必要不可欠。
肉や魚、卵、大豆、小麦など、タンパク質を多く含む食品がメインの餌を選びましょう。
ただし、植物性タンパク質に含まれる必須アミノ酸の種類は限られています。
また、雑種でも肉食性の強い犬は、植物性タンパク質を消化することが苦手です。
ドッグフードは肉や魚など動物性タンパク質がメインのものを選ぶと良いでしょう。
脂肪
脂肪と聞くと悪いイメージがあるわ
それは必要以上を摂取した場合じゃ
脂肪の主な働きはエネルギーになることです。
タンパク質や炭水化物に比べ、脂肪は1g当たりのエネルギーが2倍以上。
また、余ったエネルギーは脂肪として皮下などに蓄えられ、必要な時にも使えます。
さらに、脂肪は皮脂の原料になり、皮膚や被毛の状態を良好に保つ上で重要な栄養素。
なぜなら、皮脂には皮膚や被毛を細菌や怪我から体を守る大切な役割があるからです。
脂肪の主な役割
- エネルギーとして働く
- ホルモンの原料になる
- 脂溶性ビタミンの運び役
- 皮膚や被毛を守る
- 炎症に関わる成分の原料になる
脂肪は肉類や卵など様々な食品から取ることができます。
また、脂肪は脂肪酸とグリセロールから出来ていますが、特に重要なのが脂肪酸。
必須アミノ酸と同様に、食事で取れない必須脂肪酸があり、注意が必要です。
犬ではリノール酸が必須脂肪酸になりますので、原材料部分に注意してみましょう。
リノール酸は鶏油などの動物性脂肪や、コーン油などの植物性脂肪に多く含まれてます。
炭水化物
炭水化物も悪いイメージがあるわ
必要量は取らないとボーッとするぞ
炭水化物は消化することができる糖やデンプンと、分解出来ない繊維質に分けられます。
糖やデンプンはエネルギーとして、繊維質は大腸の状態を整える上で重要な栄養です。
例えば、脂肪もエネルギーとして利用される栄養ですが、利用には時間がかかります。
しかし、糖やデンプンは摂ってすぐブドウ糖に分解され、血液で全身にすぐ届くのが強み。
脳や神経の細胞はブドウ糖だけをエネルギーとして使い、常に一定量を必要とします。
また、犬は繊維質を大腸の細菌に分解させて、大腸に必要なエネルギーを得ています。
炭水化物の主な働き
- エネルギーとして素早く働く(糖・デンプン)
- 神経組織のエネルギーとなる(糖・デンプン)
- 大腸にエネルギーを与える(繊維質)
糖やデンプンは、私たちが主食にする米や小麦などの穀物から摂取が可能です。
同じ穀物類でも種類ごとに食後の血糖値は変わり、グレインフリーも注目されています。
また、繊維質は野菜や果物に多く含まれますが、フードでは別のものが使われる場合も。
セルロースやビートパルプ、ペクチンなどで、種類によって便の量も変わるのも特徴です。
ビタミン
ビタミンには良いイメージばかり
取りすぎは危険なものもあるぞ
ビタミンはタンパク質や脂肪、炭水化物の利用を促進したり、助ける役割を果たします。
ビタミンの中でも、水に溶けにくい脂溶性ビタミンは体の機能の維持などに。
水に溶けやすい水溶性ビタミンは様々な代謝などに関与します。
ちなみに、よく耳にするビタミンCですが、犬は体内で合成することが可能です。
アミノ酸の合成やホルモンの分泌などに関わりますが、食事からとる必要はありません。
また、水に溶けにくい脂溶性ビタミンは体に蓄積されるため、摂取上限があります。
ミネラル
ミネラルウォーターが良いの?
取りすぎは良くないのでおすすめ出来ん
ビタミンと同様、体内で起こる化学反応を助けます。
注意しなければならないのは、ミネラルは非常に微量で働く栄養素であると言うこと。
また、ミネラル同士は連携しあって働いているため、バランスが非常に重要です。
単体での摂りすぎは禁物なため、最大値やミネラル同士の割合が決まっています。
水
簡単に取れる栄養ね
消費も多いので油断は禁物じゃ
犬の体重の60〜70%は水が占めており、水には生命を維持する役割があります。
栄養素の運搬と老廃物の回収を行う血液や老廃物を体外に排出する尿もほとんどは水。
また、犬が体温を調節する際に使う汗や唾液もほとんど水です。
消化や代謝などの様々な活動、化学反応の媒体となり、その熱から臓器も守ります。
嘔吐や下痢、何らかの理由で水が飲めない状況は非常に危険なので注意しましょう。
水の主な役割
- 栄養素の運搬と老廃物の回収
- 汗になり体温を調節
- 栄養素の吸収
- 化学反応の溶媒
水を摂取するには、水をそのまま飲むのが1番簡単です。
もし水を取りすぎてしまっても、犬が健康なら不要な水が尿として排出されます。
犬が常に新鮮な水を飲めるよう十分な量を用意しておきましょう。
また、ドライフードも10%以下の水分を含んでおり、食事から水分を取ることも可能です。
成分表からドッグフードを選ぶ
では、実際にドッグフードを選ぶ際、どのように成分表示を見れば良いのでしょう。
栄養素の働きを理解しても、どの程度必要なのか知らないと意味がありません。
愛犬の健康を守り長生きしてもらうためのドッグフードの選び方を知りましょう。
総合栄養食を選ぶ
1つのドッグフードで大丈夫かしら
総合栄養食なら1つの方が良いぞ
まず、日常的にあげるドッグフードを選ぶ際には、総合栄養食を選ぶのが基本です。
総合栄養食とは水とそのドッグフードさえ与えれば問題無く育てられる保証があるもの。
犬の成長に必要な栄養素がバランスよく入っているので、他の餌は必要無くなります。
総合栄養食かどうかは成分表示の近くに記載されているので簡単に確認が可能です。
総合栄養食は下記の条件を満たしている必要があるので、安心して選びましょう。
栄養素 | 成長期 最小値 |
成犬期 最小値 |
最大値 |
---|---|---|---|
粗タンパク質 | 22.0% | 18.0% | – |
アルギニン | 0.62% | 0.51% | – |
ヒスチジン | 0.22% | 0.18% | – |
イソロイシン | 0.45% | 0.37% | – |
ロイシン | 0.72% | 0.59% | – |
リジン | 0.77% | 0.63% | – |
メチオニン+シスチン | 0.53% | 0.43% | – |
フェニルアラニン+チロシン | 0.89% | 0.73% | – |
スレオニン | 0.58% | 0.48% | – |
トリプトファン | 0.20% | 0.16% | – |
バリン | 0.48% | 0.39% | – |
粗脂肪 | 8.0% | 5.0% | – |
リノール酸 | 1.0% | 1.0% | – |
カルシウム | 1.0% | 0.6% | 2.5% |
リン | 0.8% | 0.5% | 1.6% |
カルシウム:リンの割合 | 1:1 | 1:1 | 2:1 |
カリウム | 0.6% | 0.6% | – |
ナトリウム | 0.3% | 0.06% | – |
塩素 | 0.45% | 0.09% | – |
マグネシウム | 0.04% | 0.04% | 0.3% |
鉄 | 80mg/kg | 80mg/kg | 3000mg/kg |
銅 | 7.3mg/kg | 7.3mg/kg | 250mg/kg |
マンガン | 5.0mg/kg | 5.0mg/kg | – |
亜鉛 | 120mg/kg | 120mg/kg | 1000mg/kg |
ヨウ素 | 1.5mg/kg | 1.5mg/kg | 50mg/kg |
セレン | 0.11mg/kg | 0.11mg/kg | 2mg/kg |
ビタミンA | 5000 IU/kg | 5000 IU/kg | 250000 IU/kg |
ビタミンD | 500 IU/kg | 500 IU/kg | 5000 IU/kg |
トリフェロール(ビタミンE) | 50 IU/kg | 50 IU/kg | 1000 IU/kg |
チアミン(ビタミンB1) | 1.0mg/kg | 1.0mg/kg | – |
リボフラビン(ビタミンB2) | 2.2mg/kg | 2.2mg/kg | – |
パントテン酸 | 10mg/kg | 10mg/kg | – |
ナイアシン | 11.4mg/kg | 11.4mg/kg | – |
ピリドキシン(ビタミンB6) | 1.0mg/kg | 1.0mg/kg | – |
葉酸 | 0.18mg/kg | 0.18mg/kg | – |
ビタミンB12 | 0.022mg/kg | 0.022mg/kg | – |
コリン | 1200mg/kg | 1200mg/kg | – |
ライフステージにあったものを
ライフステージに合わすのって難しそう
ポイントを抑えていれば大丈夫じゃ
次に、それぞれの愛犬のライフステージにあっているかを成分表示から確認します。
例えば、シニア期であれば、脂質の値が低めの高タンパク質、低脂肪のペットフードを。
運動不足で太り気味の場合は、脂質が少ない低脂肪のペットフードが適しています。
〇〇用の記載がある場合は分かり易いですが、成分表示を見ると違いがないものも。
例え〇〇用と記載があっても、基準となる成犬用と成分表示を比較して確認しましょう。
先程記載した総合栄養食の基準の範囲で差別化されていれば問題ありません。
ライフステージ | 成分表示のチェック箇所 |
---|---|
成犬期 | 基準となるため、総合栄養食の栄養基準通り |
成長期 | 総合栄養食の栄養基準自体が成犬期と違う |
シニア期 | 脂質の値が低めの高タンパク質、低脂肪フード |
肥満 | 脂質の値が低めの低脂肪フード |
妊娠・授乳期 | 成長期同様 |
病後 | 獣医師に相談し、必要であれば特別療法食 |
成分表の次に原材料を見る
成分表だけではダメなの?
何由来の成分か分からんからの
最後に、それぞれの成分が何由来なのかを原材料表示から確認しましょう。
成分表ではどれくらいの栄養素が含まれているか分かりますが、由来は分かりません。
例えば、粗タンパクが22%以上含まれていても、それが植物性タンパク由来かも。
犬は出来れば動物性タンパク質を取った方が良いことを考えると候補から外れます。
また、危険な添加物、危険性の高い原材料もあるので必ずチェックしましょう。
まとめ
ドッグフードを選ぶ場合、必ず成分表示を確認し、6大栄養素の割合を確認しましょう。
6大栄養素はタンパク質、脂肪、炭水化物、ビタミン、ミネラル、水の6つです。
どれかが飛び抜けて多ければ良い訳ではなく、バランス良く含まれていることが大切。
また、愛犬のライフステージによっても選ぶべきドッグフードの成分内訳は変わります。
それらをチェックする上でも成分表示の見方は把握し、良い総合栄養食を選びましょう。