犬のご飯の回数はどう決めるの?
様々な要因が関係するのじゃ
初めて犬を飼う方は、ご飯の回数や時間があっているのか不安になりますよね。
基本的に、ご飯の回数は愛犬の年齢に合わせて調整するのが良いと言われています。
しかし、犬にも個体差があり、この年齢なら何回!とは一概に言えません。
また、無理に守ることで愛犬に負担をかける可能性もあるので、注意が必要です。
この記事では、犬の年齢ごとのご飯回数、年齢以外の注意点についてまとめました。
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目次
犬のご飯の回数の決め方
基本的には愛犬のご飯の回数はライフステージごとに決めます。
ライフステージが異なると、必要な栄養やエネルギー、消化能力などが異なるからです。
ライフステージとは犬の一生を各段階で区切ったもので、下記のように分けられます。
回数 | 時間 | |
---|---|---|
離乳期 (生後7週〜8週) |
5〜6回 | 朝・(午前)・昼・午後・夕・夜 |
成長期初期 (生後2ヶ月〜4ヶ月) |
3〜4回 | 朝・(昼)・夕・夜 |
成長期中期 (生後4ヶ月〜8ヶ月) |
2〜3回 | 朝・夕・(夜) |
成長期後期 (生後8ヶ月〜1歳) |
2回に移行 | 朝・夕・(夜) |
成犬期 (1歳〜7歳) |
2回 | 朝・夕 |
高齢期 (7歳以降) |
2〜3回 | 朝・夕・(夜) |
ライフステージ=年齢では無い
まず、よくある間違いとして、ライフステージ=年齢だと思っている場合があります。
しかし、犬種や個体ごとに成長速度は違い、早く成犬になる子もいれば遅い子もいます。
同じ1歳でも、既に大人の身体つきの子もいれば、まだ成長期と言う子もいるでしょう。
また、高齢期の場合は個体によって健康状態も違い、摂取可能量にも開きがあります。
このように、様々な原因で食べられる量は変わるため、犬ごとに回数を調整しましょう。
どうすれば良いの?
では、実際に愛犬のご飯の回数を決めるにはどうすれば良いのでしょう。
答えは簡単で、各ライフステージの特徴と、回数の根拠を知ることです。
さらに、上手くいってない場合の症状を知っておけば、修正も早く正確になるでしょう。
少し遠回りに思えるかもしれませんが、基本を抑えれば応用も効きやすくなります。
何歳だから何回と決めつけて上手くいかずに悩むより、最初に基礎を覚えましょう。
離乳期(生後7〜8週)
多くの場合、生後7週〜8週までが離乳期と言われています。
母犬のご飯に興味を持ち始めるため、成長期用フードを少しずつ取り入れましょう。
母犬のご飯の匂いを嗅ぐ、口に咥えようとするなどの行動が見られたら離乳時期です。
ただし、6週以前の離乳は栄養不良や問題行動に影響があると言われています。
離乳期のご飯の回数
離乳期は5〜6回ね
朝、午前、お昼、午後、夕方、夜じゃな
時間を等間隔に開けながら1日に5〜6回分けて与え、20〜30分でお皿を下げます。
等間隔で分け与える為には、朝、午前、お昼、午後、夕方、夜ぐらいの間隔です。
必ず何時に与えないといけないというものではないので、飼い主さんが調整します。
飼い主さんの生活リズム次第ですが、大体2〜3時間おきに与えることになるでしょう。
量としてはRER×3の4分の1程度を与えると良いです。
離乳期の注意点
フードそのままで食べれないのね
水を入れて粥状にするのじゃ
母乳からフードに切り替えることで、栄養の摂取方法が大きく変化します。
徐々に母乳から切り替え、消化器官に負担を与えないよう、慎重に行いましょう。
母親のフードに成長期用フードを混ぜて粥状にしたものを少量与えます。
浅い皿やシリンジで与えると、離乳期の小さな子犬でも食べやすいでしょう。
MEMO大型犬より小型犬の方が離乳に時間がかかる傾向にあり、人工乳で育てられた子犬の方が、体重増加率が低い傾向にあります。
成長期初期(生後2〜4ヶ月未満)
多くの場合、生後2〜4ヶ月未満の犬が離乳期から成長期に切り替わるタイミングです。
離乳した後から成犬時の予測体重の約50%に達するまでが、この時期に相当します。
愛犬の急成長時にはご飯の回数・量ともに多めに与え、成長をサポートしましょう。
予測体重の50%に達するのは小型〜中型犬で4ヶ月頃、大型〜超大型犬で5ヶ月頃です。
成長期初期のご飯の回数
成長期初期は1日3〜4回ね
朝・昼・夕・夜の4〜5時間おきじゃ
この頃は、消化吸収をサポートする為に1日3〜4回に分けて与えるのが理想的です。
3〜4回与える場合、朝・(昼)・夕・夜の4〜5時間おきに与えることになるでしょう。
成長期のDERは、生後2〜4ヶ月まで体重のRER×3で算出するのが一般的です。
愛犬がご飯を食べきれない場合は、回数を4回に増やして1回の量を減らします。
成長期初期の注意点
軟便が見られたら多すぎるのね
量をRER×2.5まで下げるのじゃ
小型犬〜大型犬のどのサイズにも言えますが、成長スピードには個体差があります。
給与量が過剰かどうかの判断は、便に軟便傾向が見られるかどうかで判断しましょう。
軟便傾向が見られる場合は、RER×3では無く、RER×2.5からスタートします。
食べきれるか、軟便になってないか、体重が増加するかどうかを注意深く観察しましょう。
成長期中期(生後4〜8ヶ月未満)
成犬時の予測体重の約50%から80%の間は、体重増加は緩やかになってきます。
この時期に該当するのは、小型犬の場合8ヶ月頃、中型犬の場合は12ヶ月頃までです。
また、大型犬や超大型犬の成長期は、18ヶ月〜2年までと幅があります。
この時期は、まだ骨や筋肉組織が成長過程なので成長期用フードを与えましょう。
成長期中期のご飯の回数
成長期中期は1日2〜3回ね
朝・夕・夜の6時間ごとが良いじゃろう
まだ身体が出来上がっていないため、消化能力に関しても完全には整っていません。
ご飯の回数は2〜3回に分けて与え、引き続き消化吸収をサポートしましょう。
与える時間は朝・夕・(夜)の6時間ごとに与えるのが一般的です。
量については、このタイミングでその時の体重のRER× 2.5〜2に計算しなおします。
おやつを与える場合はDERの10%程度に抑え、その分ご飯は減らすようにしましょう。
成長期中期の注意点
成長期用フードは高カロリーなのね
成長に必要じゃからの
生後4〜5ヶ月を境に体重増加が緩やかになると、必要なエネルギー量も減ってきます。
しかし、これはあくまでも目安なので、必ず食欲、体重変化、排便状態を観察しましょう。
成長期用フードは高消化性で十分な栄養とエネルギーを得られるように作られています。
与える量が少し違うだけで栄養量も大きくずれるため、必要に応じて調節をしましょう。
MEMO大型犬用の成長期用フードは、エネルギーや栄養が小型犬の成長期用フードに比べて低く設定されています。
これは急激な成長による骨の異常や形成不全などを避け、適正な成長をサポートするためです。
成長期後期(生後8〜1歳未満)
成犬時の体重の80%以上に達する頃には、必要なエネルギーもさらに減ります。
この頃には身体もほとんど出来上がり、消化能力についても問題なくなっているでしょう。
小型犬の場合、この時期に該当するのは8ヶ月〜1歳の間になります。
また、中型犬・大型犬は12〜18ヶ月の間、超大型犬は18〜24ヶ月の間です。
成長期後期のご飯の回数
成長期後期も2〜3回ね
2回に移行していく期間じゃ
身体も出来上がってくるので、ご飯は朝と夕方の1日2回に慣らしていきましょう。
間を開ける時間としては12時間前後になってきますが、きっちり決めなくてもOKです。
ただし、様子を注意深く観察し、食べきれない、食後吐く場合には3回に戻します。
給与量については体重のRER×2〜1.8倍に計算し直しましょう。
回数以外の注意点
フードの切り替えはゆっくりね
急に変えると下痢や嘔吐に繋がるぞ
成犬用のフードに切り替える手前ですが、いきなり切り替えると消化不良を起こします。
切り替えには最低でも1週間、可能なら2週間かかることを頭に入れておきましょう。
また、切り替え途中で吐くようなら、さらに細かく切り替えていく必要もあります。
この時期から少しずつ成犬用のフードを混ぜる割合を増やしていきましょう。
成犬期(1〜7歳未満)
成犬期には、成長期用フードから完全に成犬用のフードへの切り替えを行います。
体重は安定し、増減しない状態が、給与量と要求量のバランスのとれた状態といえます。
小型犬は1〜8歳、中型犬・大型犬では1歳半〜6歳、超大型犬で2歳〜5歳の期間です。
与える量は避妊の有無などで係数が変わるので、再度DERを計算をしてみましょう。
成犬期のご飯の回数
成犬期は朝と夕方の1日2回ね
個体によっては3回でも良いがの
成犬期には、朝と夕方の1日2回のご飯が理想的と言われています。
ただし、個体によっては食が細く食べ残す、食後に吐く場合もあります。
その場合は、朝・昼・夕方の1日3回のご飯にしても構いません。
DERの再計算後も体重が増え続けるようなら、RERに掛ける係数を0.2減らします。
回数以外の注意点
おやつの与えすぎには注意ね
家族の全員が与えると大変じゃ
週に1〜2回は体重の推移を確認し、体重が増減しないDERを見つけ出しましょう。
成犬期は健康状態が安定していることも多く、食事の管理が疎かになりやすいです。
肥満になることも多く、最も大きな問題は「おやつの与えすぎ」でしょう。
DERの90%は主食から取り、おやつなどの食べ物は10%に収まるよう調整してください。
高齢期(7歳以降)
一口に高齢期と言っても様々な要因が関与するため、いつからと一概には言えません。
小型犬で8〜9歳以上、中型犬で6歳以上、大型犬で5歳以上とすることが多いようです。
そのため、飼い犬全体としては7歳以上で高齢期とまとめることも多々あります。
一方で、平均寿命の75%を過ぎた頃を高齢期とするといった考えもあり、様々です。
現実的なのは、下記を伴う生活面での変化や健康診断から判断するのが一番でしょう。
- 感覚器が衰える
- 筋肉量が低下してきた
- 眠る時間が多くなったなど
高齢期のご飯の回数
高齢期も朝と夕方の1日2回ね
必要なら3回に変更も重要じゃ
高齢期のご飯の回数は、基本的に成犬と同じ朝と夕方の1日2回になってきます。
しかし、高齢期には食が細くなる、消化能力が落ちる犬も多いです。
その場合は、朝・昼・夕方の1日3回に変えるなど、柔軟に対応する必要があります。
また、ご飯の量は適正体重の場合、RER×1.4に計算し直しましょう。
高齢期の注意点
高齢期用フードには成犬期や成長期のような栄養基準がありません。
そのため、製造会社によってコンセプトや栄養バランスに幅があります。
一方で高齢期の犬の傾向から、下記のような対策が取られていることも多いです。
- 太りやすい→低カロリー
- 便秘または下痢しやすい→高食物繊維
- 心臓病や関節病のリスク→予防に役立つと考えられる成分の添付
しかし、高齢期用フードにはいくつか注意点もあり、無理に切り替える必要はありません。
高齢期用フードに変えなくて良い例
低カロリーフードは肥満の子に効果的ですが、全ての犬が肥満では無いですよね。
たしかに高齢期の犬は太りやすくなりますが、必ず肥満になるというわけではないです。
そして、高齢期の犬のタンパク質の要求量は、成犬と変わりません。
そのため、肥満ではない場合、低カロリーフードだと必要量が増えてしまいます。
消化器官が弱っていれば負担もかかりますし、高繊維フードだと排便量も増えます。
そのため、年齢だけで判断するのでは無く、愛犬の状態にあったフードを選びましょう。
高齢期の犬に与える際の注意点
高齢期は、口腔内疾患や感覚器の能力低下から、食欲が低下するケースがあります。
このような場合は、下記のような食事を与えるための工夫が必要になります。
- 食事の鼻のそばに近づける
- フードボールの場所に導く
- 手から直接与える
- トッピングで指向性を高める
適正な食事や体重管理、適度な運動の継続などの日々の積み重ねが大切です。
定期的な健康診断と早期の治療など、異変に早く気付く体制も整えましょう。
MEMO高齢になると喉の渇きを感じにくくなることがあり、自発的に飲む水分量が減ります。
さらに筋肉量が低下して体内に貯められる水分量が減るため、脱水起こしやすい状態です。
繊維質の多いドライフードを食べていると、さらに水分の要求量は増加します。
ただし、水分を一度に与えても排尿回数や尿量が増えるだけで脱水の解決にはなりません。
ご飯・おやつ・遊び・散歩の前後などを目安に、水分を少しずつ与えるようにしましょう。
回数を調整するときのポイント
さて、状況に合わせて回数を調整すると言っても、どんな時に調整すべきなのでしょう。
調整するべきタイミングやきっかけ、気づくためのポイントについてもまとめました。
基本的な回数にとらわれず、愛犬にあった方法で健康を維持しましょう。
体重の増減チェックが重要
体重管理は健康管理の基本ね
ご飯の回数以外にも利用するぞ
ご飯の回数はライフステージから判断し、ステージが変わったかは体重からの判断です。
そのため、できれば週に1〜2回、少なくとも月に1回は体重を測りましょう。
特に成長期は体重の変化量が大きいため、毎日測っても良いくらいです。
成犬期以降も愛犬にあったDERを見つけるためには、体重チェックが重要になります。
ご飯の量を調整しては体重の計測を繰り返し、体重が増減しない量を見つけましょう。
また、見つけた後も温度や健康状態などによってDERは変化するので、計測を続けます。
愛犬の反応から判断する
愛犬のご飯の時の反応で、適切なご飯の回数を判断する方法もあります。
下記のような反応をする場合は、回数の変更を行ってみても良いでしょう。
- ご飯を食べきれない・残す→回数を増やして1回の量を減らす
- ご飯の後に吐く→回数を増やして1回の量を減らす
- 白い泡や黄色い液体を吐く→ご飯の回数を増やしてご飯の間隔を狭める
- 回数を多めに与えているが問題ない→適正回数内で減らしてみる
上記の症状が見られた場合は、原因が回数以外のところにある場合もあります。
それぞれの対処については別記事にて、より詳しくまとめています。
定期検診を利用する
動物病院はお金がかかるから…
愛犬には長生きしてもらいたいじゃろ
愛犬のライフステージや適切なご飯の回数・量については判断が難しい所もあります。
ご飯は健康管理の基本でもあるため、正確に行いたい場合は定期検診を利用しましょう。
プロである獣医師に相談する方が、付け焼き刃の知識よりも絶対に正確で安全です。
病気を予防できれば治療にかかる費用を抑えられ、愛犬も健康に長生きできます。
まとめ
愛犬のご飯の回数はライフステージに合わせて変化させていきましょう。
それぞれのライフステージは体重の変化を見て判断するので、体重管理は大事です。
離乳期は5〜6回、成長期初期は3〜4回、中盤以降は2〜3回で成犬の2回に近づけます。
高齢期も2回ではありますが、食が細くなる犬も多いので3回に増やしても大丈夫です。
また、ご飯を残す、食後に吐く、白い泡や黄色い液体を吐く場合は回数を増やします。
年齢ごとに回数を決めつけるのではなく、愛犬の状態に合わせて調整しましょう。