うさぎに強制給餌をしないといけなくなった。強制給餌って何?って人は多いと思います。
名前を聞くだけで難しそうな響きですが、どんなやり方で、どうやれば上手くいくのでしょうか。強制給餌をしないといけなくなった方は気が気ではないと思います。
いつかやらないといけなくなる可能性は高いので、早めに知っておき、万が一の時に焦らないように準備しておきましょう。
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目次
うさぎに強制給餌はやらない方が良い?
強制給餌とは高齢のうさぎや、病気のうさぎが食欲を無くした際に、シリンジで強制的に餌や薬を飲ませることを言います。
飼い主にもうさぎにも非常にストレスのかかる作業ですが、うさぎにとって非常に重要な作業でもあります。どうして必要なのか、できるだけ回避する方法と共に知っておきましょう。
強制給餌の重要性
うさぎは24時間なにも食べない状態が続くと胃腸の動きが弱くなり死んでしまいます。
健康な時は食欲の塊のようなうさぎでもピタリと食べなくなってしまうことがありますが、元々の病気で弱った身体に追い討ちをかけるようなものです。
そのため、うさぎの看護ではまず食欲の回復を図ることが大切であり、食べる元気がないうさぎにも強制的に餌を摂取させる強制給餌はとても重要な役割があると言えます。
一方で、強制給餌は食べたくない意思を持っているうさぎの身体を保定して暴れられないようにしながら強制的に食べさせるという点でうさぎにかなりのストレスが掛かります。
重要性を理解しながらも、出来るだけ強制給餌を回避できないか模索しましょう。
餌を食べないのであればまず病院
餌を食べない状態は危険だからということで、いきなり強制給餌を行う人がいますがそれは間違いです。
自殺行為にも関わらず餌を食べないということは、うさぎの身体に何かしらの異常があり、かなり悪化している緊急の状態となります。
強制給餌はうさぎにストレスのかかる行為であり、場合によっては与えてはいけないものがあるかもしれません。
どうしても時間帯的に病院に行くのが難しい深夜でも、まずは病院に接触できないか動き、判断を仰げるのであれば聞いてから強制給餌するようにしましょう。
薬も必ず獣医師の判断のもと行う
抗生物質を素人判断で与えることは絶対にやめましょう。
病気を治す目的で使われる抗生物質ですが、与え方によってはうさぎの体内で毒性を発揮し、逆効果になることもあります。
乳酸菌やビタミンなどのサプリメントも状況によっては必要かもしれませんが、こちらも素人判断で過剰に与えるのは危険です。
獣医師の判断のもと与えられた薬を使うようにし、サプリメントに関しても必要なのかどうか確認してから使うのが良いでしょう。
それでも自分で食べるか毎回確認
いつまで強制給餌を続ければ良いのか、やめどきはいつなのか分かりづらいかと思いますが、必要な期間というものはなく、出来るだけ自分の力で食べるのが一番です。
強制給餌にはストレスがかかるので、少しでも自分で食べる、食べようとする意思があればそちらを促しながら足りない分を強制給餌で補うようにしましょう。
獣医師に相談のもと、牧草の種類を変えてみたりペレットを変える、すりつぶす、ふやかして与えるなどの工夫が必要です。
危険な状態ではあるので五月蝿がられるぐらいに獣医師に一つ一つ確認しながら、切り替え、工夫して行くと良いでしょう。
強制給餌が必要になる病気
強制給餌が必要となる病気として、斜頸、不正咬合、うっ滞(毛球症)、下痢などが挙げられます。
共通点として、ご飯が食べづらい状況などから腸の働きが弱くなり、糞が出ない、緩くなるなどの症状があります。
どれもうさぎが掛かりやすい病気であり、あなたのうさぎにいつ強制給餌が必要になってもおかしくはありません。
もしもの場合に備えて、小さな頃から野菜や果物ジュースやすりつぶした果物など、うさぎの好物でシリンジでの強制給餌を練習をしておくと良いでしょう。
強制給餌の際に必要なもの
基本的に病院で必要なものの説明は受けられ購入できるかと思いますが、うさぎ専門でなければ自分で購入しないといけないことも多いです。
必要になってから買っていては遅い場合もありますので、事前に準備しておくようにしましょう。
強制給餌用の粉末フード
クリティカルケア、ライフケア、うさぎのおだんごなどが有名どころのようです。各商品の成分にほとんど違いは無いですが、念のため獣医師に確認してみるのが良いでしょう。
普段使っている牧草やペレットを使う方が食いつきが良いですが、自力ですりつぶすのは不可能に近いです。電動ミルを使ってすりつぶす人もいるようです。
あまり現実的では無いので、素直に強制給餌用の粉末フードを何かあった時のために常備しておいた方が良いでしょう。
シリンジ
注射器の先がプラスチックになっているものです。
一回に与える量は10cc程度ですが、10ccのシリンジだと先が短くうまく与えられない可能性があります。30ccのシリンジを用意するとやりやすいでしょう。
流動食用と水用のシリンジは分けた方が良く、壊れたり汚れたりした時のために複数本用意しておくのが無難です。
うさぎのサイズや好みによって先を切ったり削ったりできた方が便利なので、プラスチック製のものが良いでしょう。
すり鉢
餌を混ぜたり、すりつぶすために必要になります。100均のもので構いませんし、大きくない方が餌を写しやすいでしょう。
同程度のサイズの器も用意しておくと、分量を計らずに水を用意したり、すりつぶす必要のない強制給餌用の餌だけを用意する場合も同じ感覚で作れます。
タオル
うさぎを保定したり、こばした餌を拭くために使います。ブラッシングの時などに使っているものがあればそれをそのまま使うのが良いでしょう。
タオルを見ただけで嫌がるケースもあるので、取り出してくるのではなく、常にうさぎの目の届く範囲に置いておくと良いです。
アクアコール
うさぎ用の経口補水液になります。少し甘く、普通の水では飲んでくれなかったうさぎが飲んでくれる可能性があります。
食欲を無くしているうさぎは一緒に水分不足になっていることが多く、強制給餌をした後に一緒に水分補給のため飲んでもらいます。
念のため獣医師に使用して良いか確認しておくと良いでしょう。
サプリメント
腸の調子が悪くなっているため乳酸菌で整える、盲腸便を食べなくなっている場合にはビタミンが不足しがちなので補う等の目的で使われます。
必要ない場合もありますし、強制給餌の指示が獣医師からあった際に必ず確認の上使ってください。
薬で十分であったり、野菜や果物をすりつぶしたものなどで補うように指示がある場合もあります。
強制給餌用の餌の作り方
強制給餌用の餌の作り方ですが、器に一回分の強制給餌用粉末フードを入れ、同程度の水を加えてかき混ぜて出来上がりです。
硬さとしてはイタリアンジェラート位の硬さが丁度よいです。水が多すぎると下痢になり易く、栄養価も下がるので注意しましょう。
お腹の調子が悪い時に冷たいものは食べたくないようで、42度位のお湯で作ると食い付きが良いと言う情報もあります。
普段からペレットを濡らして与えてみるタイミングを作り、どの程度の温度なら食い付きが良いのか把握しておきましょう。
食い付きが悪い場合は、水の代わりに好みの野菜や果物ジュースを使ったり、大麦若葉の青汁の粉を少し混ぜたりする事で嗜好性が高まるようですが、獣医師に相談してから行いましょう。
薬の場合
粉末は水か好きな野菜や果物ジュース、液状ヨーグルトで溶かし、液体状にします。錠剤しかない場合はすりつぶして粉末状にしておきましょう。
うさぎに合わせて薬の分量は決められており、溶かし残しがあると分量が変わってしまうので正しく効果を発揮しない可能性があります。必ず全て溶かし切りましょう。
また、水以外を使う場合には事前に獣医師に相談しておく必要があります。
必要な量と間隔
目安としては1日の量が体重1キロあたり50ccとなりますので、2キロのうさぎなら100ccとなります。可能であれば2時間おきの計10回与えるのが良いため、一回の量は10ccです。
ただし、2時間おきはかなり厳しいと思いますので、最低でも1日4〜6回の頻度で与えて下さい。その場合3〜5時間間隔で、20〜35cc程度与える事となります。
また、あくまで目安となりますので、獣医師の指示に従うようにして下さい。
バニーラップで固定する
強制給餌中にうさぎが暴れるとシリンジが目に刺さったりして危険なのでバニーラップと呼ばれるタオルでの保定方法を使います。タオル一枚で出来るため非常に便利です。
タオルでうさぎの顔以外をぐるぐるに巻きつけるようなイメージで、身体を覆われると安心するうさぎの穴暮らしの時の習性を利用したものになります。
- うさぎのお尻が飼い主さんに向くようタオルに乗せ、うさぎの頭を片手で目を覆うように抑えて伏せさせます。
- 伏せたら抑えた人差し指と中指で頭を抑えたまま手のひらを背中側にズラして、背中を押さえ込みます。うさぎが暴れないように作業中はずっと抑えるので、難しければもう一人がずっと抑えておくでも構いません。
- 右からでも左からでも良いのでうさぎのお尻側のタオルの角を持ち反対側のうさぎのお腹側に潜り込ませるように巻きつけます。
- 反対側も同様に巻きつけます。うさぎのお尻が地面に着くぐらい身体が丸めてあればOKです。
- 頭側のタオルが大量に余るので巻き取るようにクルクル筒状にしていきながら、うさぎの顔と前足の間の胸あたりに押し込んでいきます。
- 頭を動かしづらいように顔周りのタオルも押し込み、前足がばたつかないようになっていれば完成です。
- 完成後も背中を抑える手は緩めないようにしましょう。
ポイントはうさぎが暴れないようにしっかり背中を抑えておくことです。
ベテランの飼い主はどこをどれくらいの力で抑えておけば動かないのかわかると思いますが、難しい場合は二人掛かりで行いましょう。
感覚としては押すのではなく、背中が上がってこないようにあくまで抑える力加減です。前足で立ち上がろうとするのでそれを抑え込む感覚です。
強制給餌のやり方
強制給餌のやり方ですが、まずはうさぎをうさぎの背中側から膝の間に挟みこみます。
挟んだら、口の後ろから切歯と臼歯の隙間へシリンジをゆっくりいれ、ゆっくり口の中に絞り出したらうさぎが飲み込むまで待ちましょう。
口をもぐもぐしたら飲み込んだ合図なので喉に詰まらせないように少量ずつゆっくり繰り返します。うさぎの口元を確認するために自然と覆いかぶさるような姿勢になるでしょう。
仰向け抱っこの仕方で強制給餌することも出来ますが、喉に詰まらせる可能性があり、難易度も高いので避けた方が良いでしょう。どうしても暴れる場合に行いましょう。
コツはうさぎの胸を少し高くして30〜40度くらいにするとうさぎが食べやすくなります。巻き込んだタオルの厚みによっては最初からこの角度になる場合もありますが。
シリンジは結構押す力が必要なので、逆手持ちし親指で押すようにするとやり易いです。
食べてくれない場合
暴れる、保定を嫌がるようであれば、うさぎが普段入り込まない縄張り以外の場所で行うようにしましょう。慣れていない場所に移動することで大人しくなります。
食べない、飲み込まない場合は、シリンジをしっかり押し込めているか確認しましょう。横から差し込んでいるのでシリンジの先が全部口に隠れるくらい押し込んでも大丈夫です。
ちょっと強引なので歯を痛めないように注意ですが、注射器の先端を横下あご方向から差し入れ、次に対面方向にグリッと回し、前歯に噛ませるようにすると容易になる場合もあります。
うさぎがボーとして惚けているようであれば、好物の野菜や果物ジュースやアクアコールなどをシリンジで与えてあげると咀嚼し出すこともあります。
どうしても食べさせることができない場合は病院に行って見てもらいながら強制給餌すると良いでしょう。どうして食べてくれないんだろうと悩んでいる間にもうさぎの身体は弱って行ってしまいます。
ひたすら回復を祈るばかり
しっかり餌やお薬を強制給餌することができれば、あとは回復を祈るばかりです。
獣医師の言いつけをしっかり守りながら、何か気になることがあれば遠慮せず動物病院を頼りましょう。
強制給餌が必要な状態は死亡する可能性もある非常に危険な状態ですので、とにかく遠慮せずに動物病院を頼る姿勢が重要です。
あまり考えたくはありませんが、もしもの時のために受け入れる覚悟もしておきましょう。自分のことを攻めたくなると思いますが、うさぎのためにやってあげたことを振り返り、肯定してあげることも大切です。
また、今回を機にうさぎの病院代が心配になった方、気になる方は、ペット保険についても検討しましょう。
うさぎのペット保険は数が少ないうえに、2~3歳までしか入れないことがほとんどです。
高齢になり病院のお世話になることが増えてから検討しても、入ることができません。
実際にペット保険に入っていなかったうさぎ店長の実体験記事も掲載しています。
気になる方はうさぎにペット保険は必要か?実体験から得たポイント3つもご覧ください。
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